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闇からの換生
何度も繰り返した、この感覚。 あのままどこかに消えても良かった。 なんで居残っちまったんだろうなぁ。 別にこのまま俺という存在がなくなったって、なんの未練もなかった。 でも、浄化する理由もなかったから。 なんど繰り返したか。この感覚。 この感覚に俺は罪悪感なんてない。 生きたい奴が生きて、死にたい奴が死ねばいい。と思ってたんだ。いや、今でも思っている。 でも――、 ――修平! 耐えるしかねぇよなぁ。 それが代償なんだから。 死に神のように――見てるだけで、努力もしないで、 アイツがここまで堕ちてくることを待った俺の罰。 ――いいのかよ。 ――いいんなら――……、 瞼を持ち上げたら、見えるのは――、 「…………」 眩しいぐらいの――、 激痛と共に感じる光。 かざす手のひら。 ――生きる、ということ。 あの時の、感覚は絶対に忘れない。 ――千秋――……。 「――長秀」 「とっつぁん」 逆光を受けて手を伸ばしてくる色部。 「立てるか?」 「――あぁ、バリバリまだいける」 あの時、とは比べものにならないほどの小さな痛み。 やれる。 やるのだ。やらなければ、ならない。 「行こう」 立ち上がる。 約束を違えることは嫌いだ。 アイツは俺たちを信じて託した。大将らしく、俺たちを率いてみせた。 今度は絶対、俺たちの番だ。 目にモノみせてやる! 「――勝長殿」 安田長秀は、彼特有な濁りのない眼差しを持って黙した色部勝長に視線をやる。 「ああ」 言葉は不要だ。相手も想いは同じだ。 それが共に四百年共に生きた絆だ。 そして、 これが俺たちの生きる、ということだから。 俺の人生、おまえに捧げてやる。 だから、二度とあの感覚を、おまえも味わわずにいられるよう――、 『今』を生きろ! ――end. 04/4/26
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