天使たちよ
己が往く道に ……――栄光あれ
色は静かに時を待つ |
「行かせると思うのか」 「私は景虎様に殉じていきる――」 ――人間です。 「……」 強風がさらう。 「勘違いするなよ。私の覚悟がおまえの覚悟に勝てる気がしないからだ」 「色部さん…」 白い羽が舞う。固く芯の通った羽。 「景虎殿を死なすなよ」 直江は一礼をして翼を広げた。 「……」 門へと向かう直江を見送り、 「――これで一人になったわけか…」 皆が旅立って天界に残るのは、色部だけ。 コートの裾が翻る。 行かせてしまったことに後悔はない。 「私がここにいれば―いい」 けど、大将は景虎殿、あなただ。 |