天使たちよ
己が往く道に ……――栄光あれ
綾は悲しまずにはいられない |
「裏切り者ォ!」 「……」 降り注がれる視線には揺らぐ感情などない。 「何とでも言え」 綾子は唇を噛み締めた。 決して自分では彼の心には届かないのだ。 目尻の浮かぶ水玉は悲嘆からではない。憤激からだ。 何故なんて聞かない。解りきってるから。これが彼なりの決断で決意の表れだから。 どんなに姿を変えようとその傲慢な瞳だけは変わらない。 「裏切り者!私はあんたを許さない!」 その瞳に嘲笑さえ映して、 「せいぜい生きがってろよ」 意思ある言葉。 彼を動かせるのは彼自身と、 (――景虎…あんただけなのよ!) |