天使たちよ
己が往く道に ……――栄光あれ
ちーの始動 |
ゆっくりと力を込めてみれば――。 千秋は口端を吊り上げた。 「案外普通じゃねーか」 「あなた用に特別に用意したものですからね」 千秋はその明るい栗茶色の髪の青年の台詞を鼻で笑った。 よく言う。 「ふん。こんな代物……現代じゃ手に入んないさ」 途端、千秋より青年の顔は無垢ならではの、残忍な笑みを浮かべて、 「何か不満でも?」 「んなの、あるわけねーだろ? 魔王様の趣味にケチなんてつけっかよ?」 千秋はにっと笑い、肩を竦めてみせ、無造作にシガレットをくわえた。が、 「敢えて言うなら――」 不敵なまでの彼らしさで、 「この泣き黒子かねえ」 と、千秋は隣の青年の肩に馴々しく手を置き、宣った。 |