天使たちよ
己が往く道に ……――栄光あれ
高の条件反射 |
「誰か助けて!」 悲痛な叫びが耳に飛び込んできて高耶は立ち止まった。 振り返る。見渡す。 が、 「…………」 気のせいだったのだろうか――。 周囲の人たちに何ら変化は、ない。 各々が他人を気を配るふうもなく、無関心に行き交う人々の光景が広がる。 都会の雑踏、どうやら立ち止まったのは高耶だけだったようだ。 (気のせいなら、――それで……いい) 肩の力を抜き、歩きだそうとして高耶は見た。行き交う人々の間を縫って出来た視界の先。ビルとビルの間の世界の影の闇のような空間で。 ――くず折れいく少女を。高耶は――、見た。 |