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-- 不夜城 -- 「ふん」 ――舐められたものだな。 根津耕市こと加藤清正は片鎌槍を両肩で背負い鼻を鳴らした。 ざっと数えて三十人はいるだろうか。 いや、五十名近くのチンピラ共に四方を囲まれている。 ここは公園――それも憑依霊夜露死苦チンピラ共の巣窟だったりする。 勿論、この清正そんなことも知らずに交差点で分かれた相方が指し示しただろう公園に追尾者を誘き寄せたのである――が、 「…………」 清正は八の字に眉を下げて軽く息を吐いた。 この場合、誘き寄せられたのは、どちらの方か。 ……微妙なところである。 清正は一通り睨め回して、やれやれと槍を肩から下ろし、身構えた。 どうやら、相手はやる気らしい。 阿蘇や最終決戦ではこの数の比ではない怨霊たちを一人で相手にした清正だ。このぐらい屁ではない――が、 どうもこの状況は納得がいかない……! 交差点で別れた相方。へらへらと笑っていた奴と自分の負担の差が著しく大きくはないか……? どうしようもなく納得いかない心情が沸々と沸いてくる。 どうもハメられた気がして仕方がない……。 最近、奴と仕事を供にするようになって、思うことがある。 面倒事は――、 (体よくわしに押し付けてないか!?) あの男――……。 どうもそんな気がしてたまらない。 あまりの不信感に一度接触読心を試みたことがあるが――、 その行動の半分は故意で半分は偶然のようであり、 けれど、何故か憎めない。 千秋修平――いや、安田長秀という男は、 まったく――、 (掴めない漢だ) 不意にニヤリと清正が笑んだことが合図となり、やっちまえッ! とばかりに念波とチンピラ共が襲いかかってくる。 「百年早いわァァア!!」 雄叫びとともに槍から繰り出した閃光がチンピラ共を薙ぐ。 そして、奴はこの現場について、 ――へえ。まだ片付いてないのか。 と嘲り、 ――手伝ってやろうか? と言うに決まっているのだッ。 なんだか想像だけで腹が立ってくる。 清正は、腹の底から声を張り上げた。 「ええーィイ!」 そんなことを言われるのも癪だから――、 天に高らかと槍を振り上げ――ダンと地面に柄を立てる。 「面倒だ! まとめてかかってくるがよい!」 どうもヘラヘラ笑っている顔が許せんッ! 根本的に知っている夜叉衆の面々とは、性質が異なる奴は、 片付いていようと――、 ――ご苦労さん。 とかなんとか……、 澄まして言うのだ! それも癪なことに、この加藤清正……不覚にも言われるまで、忘れ果てているのであった。 |
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