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「世界は俺色に染まる」 「……ッ……」 堪らない! こんな告白は。 堪らなくて、堪らなくて、堪らなくて……! キュッと私は彼の服に縋った。 「……そんなの」 ああ、私は。 目を瞑れば、涙が零れた。 「そんなのないよ……!」 狡い。本当に狡すぎる! こんな激白をされて何を言えようか……。 淡い期待だって抱けやしない! 彼は失ったとしても、なくしてはいないのだ。 彼の中には確実にナニモノにも換えがたい大切な人が棲んでいる。すべてにおいて最優先されるほどに想われている私の知らない人が。 ドンと私は拳を打ち付けて、私は唇を噛み締めた。 「あんたの幸せは?」 彼の腕の中、彼の胸に駄々っ子のように打ち付けて……尚も言い募った。 「千秋あんた自身あんたの幸せは」 ……何処に。 「私は――千秋!」 分かってる。彼が望んで最愛の人を優先していることは。だから、どんなに言い募っても無駄なことを。 だけど、知っておいて欲しい。彼が、彼自身がそうするように私も、 ――……千秋自身に幸せになって、もらいたい……! ということを。 誰よりも幸福せになってもらいたいのは! 私が好きなのは……。 千秋、なのだ。 ということを……。 誰かが誰かを思いやるこの日に、等しく平等に慈悲は降り注ぐ。 ――どうか、神様。今日という日に奇跡が起こるなら、 この愛(かな)しい魂をお救いください。 私たちの頭上では変わらずひっそりと星は瞬いている。 |
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