サイト一周年記念
煙草 −4− ――三者三様とはよく言ったものだ。あれで四百年も一緒にいるって言うんだから、 ……苦労は絶えなかっただろう。 端から見ていても分かる! 絶対に紆余曲折ひどくて今の関係になるなんて、一朝一夕でできるはずがない! 『景虎』という奴もよくあんな連中をまとめ上げてきたもんだ。 オレじゃ絶っ対ぇ、無理ぃ!! と思っていることなんて、 ……口が裂けても言えない。 きっと千秋に罵られ、綾子ねーさんに呆れられ、 ……直江に――……スパルタを受けそうだ。 ――ああ、考えただけで胃が痛くなってきた……。 こういう時にタバコを吸いたくなる。 現実逃避ってやつだ。 そういえば、初めてタバコを吸ったのも、 そんな理由だっけ? そんなもんだった気がする。 煙草は、体温を下げるというけど、 吸うと寒さが不思議と感じられなくなるからいい。 あの頃は、家にいられなかったから――……。 情けないけど一滴も酒が飲めないんじゃ、仕方がない。 煙草が寒さを和らげる必需品になってくる。 生きる、というただ、その一つの目的のためだけに――、 ――必要だったんだ。 だから、 ねーさんが言うように、癒されたくて吸ったわけでもなく、 千秋の言うように、吸いたくて吸ったわけでもなく、 まして直江のように、マヒのために吸ったわけでもない。 ――その全てだったのかもしれないけど、 今は――……、 |
home(フレームなし)>創作場>二次創作−小説>一周年記念 煙草