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空のごとく海のごとく
第二章 明かされる真実を胸に
第三節 訪問者
『三日後、パレスリンチに来てくれ』 「!?」 マグネリオは一瞬脳が白紙状態になってしまった。 「おいっ!? ちょっ――……」 回復した時には――。 プチンッ 遅かった――……。 ツー、ツー、ツー、ツー……。 「……――っと、待った……」 マグネリオは呆然と受話器を眺めた。 なんて強引なことだろうか……。 そして、次に込み上げてきたのは――……。 「何考えてんだ!! あいつッ!!」 壊れるかも知れないほどの勢いで壁に激突する受話器。気付いた時には投げつけていた。 「三日後だと!? ここからパレスリンチったら三日かかるんだぞ!!」 当然、そんなことはウィリアムの知るところではない。 「何考えてんだ!? あんにゃろ。人が折角電話してやったのに、こっちの言い分は聞かずに用件押しつけて。はい、さよならかよ!! やってらんねーぜ!!」 もっともな言い分である。 マグネリオは肩で息をしながら、受話器に向かってありったけの大声を発していた。 無条件にほとんどボランティアで手を貸してやっているというのにこの仕打ちは何なんだ!? 「折角なら、情報は早いほうが良いって、気ぃ利かせて電話してやったのに……」 そして、憤り冷めず、マグネリオはじろりと振り返った。 そこには――、 『誰だか知らない奴』が佇んでいる。 素知らぬ顔をして紅茶を啜る男。中肉中背、長身でいかにも貴族といった出立ちだ。恨めしいぐらい誰かさんに似ている。 「なんだか大変なことになってるね〜」 人ごとのようなのんびりした口調。穏やかな微笑。 マグネリオは無理矢理笑顔を作ろうとしたが、その頬の筋肉は痙攣してお世辞にも笑っているとは言えない。 「だ、誰の所為ぃ、だ、と、思ってんだぁーあー!!」 怪獣の口ほどに開いたマグネリオの口が吠えた。 男は相も変わらず微笑を浮かべている。 間違ってもその男はマグネリオの『知らない奴』ではなかった。誰よりも知っていて今の状況を作り出した張本人。世界で一番無責任な男。 その男の名は――、 ガウィダント・ロダリオ――という……。 <続> |
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