home(フレームなし)>創作場>オリジナル小説>空のごとく海のごとく>第三章 第三節 1
空のごとく海のごとく
第二章 風は嵐となりて
第三節 再会 「パレスリンチとはやはり田舎だな」 人には聞こえないようにサリ・ステライアは呟いた。賊として人前にでる時はその正体を悟られないためにも女装をしている。その姿に低音の声が不釣り合いなこともサリ自身自覚していたので大声で話すことを極力避けていた。隣の黒髪黒目の大男、ジルクード・ダッチがつられて声を潜めた。 「観光ぐらいしか商売になるようなものがありませんね」 「しかし、だだっ広いな」 「道は分かりやすいですよ」 大男と大女は町中を闊歩していた。非常に早い速度で歩いている。 「多分、この先に奴の屋敷があるはずです。大きすぎてどこにお嬢が監禁されてるか……」 「直接ダレスとやらを脅した方が早いな」 サリは歩みを止める。ダレスは会議中だと聞く。なら直接本社に乗り込むべきだろう。 「本社に行こう。ダレスを捕らえる」 ジルクードはコクリと頷く。 タクシーを捕まえ二人は乗り込んだ。 ちょっと大きめだが、まるで恋人同士に見えるような二人がまさか賊であろうなんて誰が思うだろうか――? <続> |
home(フレームなし)>創作場>オリジナル小説>空のごとく海のごとく>第三章 第三節 1