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空のごとく海のごとく
第三章 風は嵐となりて
第三節 再会
セレスティ・アラインは気が狂った獣の咆哮で目が覚めた。 (今のはなんだったのだろう?) 薬で眠らされて微睡んでいたのだが、一気にその心地を吹き飛ばす程、背筋が凍るものだった。 「……ここは一体……?」 豪奢な装飾の部屋。一瞬、空賊船のあの一室かと思ったが、そうではない。違う部屋だ。あの部屋はここまで悪趣味ではなかった。 セレスは額に手を当て必死で記憶を辿った。 (ジルと一緒にいて……、ジルがベンチを立って――……) それから――……。 黒尽くめな人たちに囲まれた、のだ!! ――その後の記憶がない……。 誰かに連れ去られた!? セレスはぐるりと周りを見回した。完璧に見覚えがない。 不安は募る。セレスの第六感が警鐘を鳴らす。空賊船の比ではない。一人になった時の比でもない。これこそが生死に関わる危機だとばかりに胸騒ぎを覚える。 独特の足音はどんどんとこちらに近づいてくる。 「…………」 嫌な予感がする。どうにかしてこの部屋から出られないだろうか。セレスは立ち上がりドアを押してはダメで引いてみたがダメだった。隠れる場所はないか。寝台に飛び乗り壁側を隈無く見たが、ない。 「!?」 その時、足音が止まった。思わず背筋を伸ばしてしまった。 ゆっくりと首を巡らすと――……。 凄い形相の、形容しがたい鬼気迫る男がひたとこちらを見ている。さながら肉食獣を目の前にしているようだ。 セレスはベットの上を――……後ずさった。 <続> |
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